シリーズ:豊かな言の葉・その2 ~くりかえしのことば(副詞の畳語)
今回は副詞のお話です。
日本語には、同じ音を繰り返す副詞がたくさんあり、ことばでの表現をいっそう豊かにしています。
副詞とは、主に用言(動詞・形容詞・形容動詞)を修飾する自立語です。
たとえば、動詞「進む」が、どんなふうに進むのかを表すわけです。
「とんとん進む」「どんどん進む」という具合に使い、濁点/半濁点のあるなしで、ずいぶん印象が変わります。
「とんとん」だと「軽く順調に」進む感じがしますし、
「どんどん」だと「とどまることなく勢いよく」進む感じです。
一般的に、濁点のつく方が意味合いが強かったり、程度が高かったりするようです。
例1)お日様が「かんかん」照っている。 / 日光が「がんがん」照りつける。
どちらも日光が強く照りつける様子ですが、
「かんかん」よりも「がんがん」の方が日差しが強い感じがします。
例2)包帯を「くるくる」巻く。 / 包帯を「ぐるぐる」巻く。
どちらも幾重にも巻くさまを表す言葉ですが、「くるくる」よりも
「ぐるぐる」の方が動作が大きく、重く、たくさん巻いている感じがします。
例3)「ひらひら」のついた服 / 「ぴらぴら」のついた服 / 「びらびら」のついた服
どれも軽く風になびく感じのするものですが、
「ひらひら」よりも「ぴらぴら」の方が薄く軽い感じがします。
「びらびら」になると品が悪い感じになります。
濁点/半濁点がつくと、意味が違ってくる場合もあります。
例4)
くんくん・・・匂いを嗅いだり、鼻を鳴らしたりする音を表す語。
例)犬が「くんくん」鼻を鳴らす。
ぐんぐん・・・物事が勢いよく進行するさま。
例)背が「ぐんぐん」伸びる。
例5)
ふんふん・・・話の相槌を打つ様子。
ぶんぶん・・・①昆虫などの羽音を表す。 例)蜂が「ぶんぶん」飛ぶ。
②物を勢いよく振り回したり、機械などの回転したりする音を表す。
例)腕を「ぶんぶん」振り回す。
ぷんぷん・・・①強い匂いや気配の立ち込めるさま。 例)犯罪のニオイが「ぷんぷん」する。
②ひどく腹を立てているさま。 例)けんかして「ぷんぷん」怒る。
「さわさわ」は「爽(爽やか)」から来ていると思われ、爽やかに揺れる感じですが、
「ざわざわ」は「騒(さわがしい)」 から来ており、大勢が騒ぎ動くさまを表します。
このように、もとの漢字をあてると意味が分かりやすくなることもあります。
「たびたび(度度)」「ますます(益益)」など、調べてみると、「なかなか(中中)」面白いものです。
身近なできごとや気持ちを、「どんな感じ」がするのか、家族や友人と話してみるのも楽しいかもしれません。
「わくわく」して「わいわい」盛り上がるかもしれませんよ。